価値ある問題提起のために:ワクワク感の発生条件を考える
単に「知らない」だけでは弱い
フタが閉まった箱を見せられて、「この箱の中には何が入っていると思う?」と言われても、あまりワクワクしない。下手をすると「知らないよ。いまは忙しいんだ。」で終わってしまう。
ところが、「この箱はとある遺跡で見つかった箱で、数千年前のものなのに、これまで誰も開けることに成功していないんだ。過去数回の爆破実験にも全て耐え抜いている。」と言われたら、とたんに知りたいことが吹き出してくるだろう。
「どうして数千年前の技術で、そこまで頑丈な箱が作れるのか。構造はどうなっているのか。」
「そこまで頑丈な箱に数千年保管されてきたものとは、いったい何なのか。記録はないのか。誰が何のために、それを箱に入れたのか。」
「なぜお前がそんな箱を持っているのか。」
この違いはどこにあるのか。人をワクワクさせる要素とは、どんな要素なのだろうか。
常識を裏切る要素
・数千年前のものが残っているはずがない。→のこっているんだな、これが。
・数千年前の技術で作られた箱が、いまの技術で開かないはずがない。→開かないんだな、これが。
<常識では理解できないもの、「当たり前だろう」と看過できないもの、腑に落ちないもの>
深い物語の存在を伺わせる要素
・その箱には数千年の歴史がある→その箱の中身をめぐって争いやドラマがあるのではないか?
・その箱の中身が数千年のあいだ未知のままである→その中身を知ることで、いまの私たちが忘れてしまった、「いにしえの教訓」的なものを享受できるのではないか?
ワクワクする問題提起のために
上記の要素が、そのまま、問題提起の際に強調すべき要素となる。
単に分からないことを提示するだけではなく、それが謎とされてきた経緯を説明しよう。その説明を通じて、分からない原因が、単に当たり前の原因(調べれば答えが分かるものを単に調べていないからとか、常識的な推論を単に実施していないから)では済まないところにあることを提示しよう。