(覚書)対象を限定して、他は固定する、という思考法
複雑な思考を、頭の中だけでやろうとしても、多くの場合、失敗する。
それは、頭の中だけで思考していると、「いままでの思考で、どこまでが分かったのか」という、思考の成果が、「いま、どこを考えているのか」という、思考の対象に溶け込んでしまい、思考の成果があやふやになってしまうから。
図や表、箇条書きを利用して整理すると、分かりやすい。
それは、思考の成果を、「図」「表」「文字」という定まった形に記録することで、頭の中で思考の対象に溶け込んでしまうことを防げるから。
頭の中で、いくらぐしゃくしゃと考えていても、「図」「表」「文字」を使って、がっしり固めた思考の成果は、ブレることなく、紙の上にとどまることができる。
だから、今まで考えた部分を「図」「表」「文字」に記録してしまえば、その記録がそこまでの思考を固定化してくれるから、ひとまずそれはそれとして、その先の問題だけを思考することができる。
この、「ひとまずそれはそれとして、ここだけを考えよう」という思考法は、極めて強力であり、効率的だ。
大仕事であればあるほど、「ここまではできた。ここまでのところはひとまず良しとして記録しておき、それはとりあえずもう動かさずに、次に進もう」という限定&固定が、役に立つ。
自分の思考の成果を記録として固定化し、現在の思考と切り離すという省エネ技術は、記号を獲得した人類の強みだと思う。